既得権益とは、字に書かれた通りのことですけど、既に手に入れている権利や利益のことであって、これさえあれば半永久的に権利が主張できる、利益を得ることができることを意味します。
私がこの既得権益という言葉を聞いてすぐに頭に浮かぶのが映画業界で結ばれていた「五社協定」なんですよね。
石原裕次郎さんが好きで映画やドラマをよく見ていたんですけど、「黒部の太陽」の映画製作の際に石原裕次郎さんが三船敏郎さんを主役に用いようとしても五社協定というルールがある以上、三船さんを起用できないことで大いに悩まれたそうです。
監督や俳優を会社を超えて貸さない、借りない、引き抜かないというルールがあって、それを破った人は映画界から追放されるような暗黙のルールがあったみたいです。
自分たちの会社を守るための策だったと思うんですけど、石原裕次郎さんがそれをぶち壊したことによって、三船さんを起用した名作が誕生したわけです。
新しいことを試みようにも、既得権益の存在でなかなか前に進まないことって五社協定以外にも世の中にはたくさんあるのではないかと思います。
既得権益に守られている人たちは、それを死守しようと頑張ります。
逆に新しいことを試みたいと思う人たちは、既得権益に関してぶっ壊そうとする流れを作ります。
これは今に始まった問題ではなく、歴史的に見てもずっと行われていることです。
歴史の流れで見れば、時代の名前が変わるときに既得権益がぶっ壊されている瞬間だと思っていいと思います。
平安時代から鎌倉時代に移り変わるときには、貴族から武士へと政権が変わるのですが、貴族が持っていた既得権益を武士が力づくで取ったようなものですね。
織田信長はあらゆるときに登場してありがたいんですけど、この方も天皇が決定権を持っていた暦に対して、自分たちが使っている暦にしようと挑戦したんです。
そのために本能寺の変が起こったとも言われているくらいですから、既得権益には莫大な力が備わっていると言っていいですし、それに挑戦するためにはその力を上回る力が必要だということが分かります。
実は既得権益を打ち破るきっかけをつくるのは今の時代では簡単なんですよ。
それは何かといえば世論です。
世論がバックについたときには巨大な力が発生するのですが、それをうまく操れるかどうかなんです。
一番世論をバックに活躍した人と言って頭に浮かぶのはアドルフ・ヒトラーですね。
世界恐慌で失業者を相手に「すべての人に食とパンを!」という分かりやすいスローガンで絶対権力者とのし上がった方です。
世論をバックに国家予算を度外視して失業者を徹底的に減らしていったことで莫大なファンを味方につけたわけですけど、世論をうまく活用したらいくらでも既得権益なんてつぶせますよ。
NHKをぶっ壊す党も自分たちのスローガンだけに徹底して動いていたら結構いいところまでいったのではないのかなと思いますけどね。
マツコ・デラックスさんと絡んでからおかしな方向に行きましたし、もともとそこまで信念があったのかとさえ疑ってしまいますけど、それでも既得権益をぶっ壊す道筋を見せてくれた点では評価しています。
ドラレコでもそうじゃないですかね。
今まであおり運転に対して不満を持っていた人たちはたくさんいたと思うんですけど、これといった証拠もなく泣き寝入りしていたと思います。
それがドラレコの登場でSNSに投稿されてマスコミまで巻き込んで報道されたことによって、一気に逮捕にまで至りましたよね。
まあこれは既得権益ではないですけど、世論を味方につけた時には莫大な力を発揮することができるんです。
世論を味方につけた時の動きは本当にすごくて、小泉純一郎内閣の時も世論を味方につけた時の動きは異常だったと思いますよ。
もちろん郵政民営化に関する功罪もあると思いますけど。
菅内閣は麻生大臣や二階幹事長の不評で支持率が急降下していますけど、給付金配布を早めに取り組んでいたら一気に世論が味方になっていたと思うんですよね。
世論が味方になったときには小泉純一郎内閣時のように政府主導で物事が動くと言ってもいいくらいに進んでいたかもしれません。
もっと言うなら、世論をバックにつけられるように取り組めば政権交代もできるんですけどね。
世の中の流れや考えに沿って動くことができれば巨大な力が生み出されるということを知ったうえで、リーダーシップをとれる人が出てほしいなと思うばかりです。
コロナで疲弊した今が世論をバックにできるチャンスだと思うんですけどね。
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